こんにちは。
ヴィンスです。
年に数回はお寺や神社の不祥事がメディアで報道されますが、それを見るたびに、
・宗教法人ってそんなに儲かるの?
・やっぱ宗教やってるやつは普通と感覚が違う…
こんな感想を抱く人も多いと思います。
今回の記事では、そんな神社のフトコロ事情について、そして神主の副業も合わせて元神職の目線で解説してみます。
神社は本当にお金持ちなのか?
結論からいうと、お金持ちの神社はごく少数です。
神社は二極化している
神社と一言でいっても立地や大きさはそれぞれ違います。
神社本庁に包括されている神社は全国で約80,000社。そのうち『別表神社』と呼ばれる比較的大きい神社は約350社、その他『単立』と呼ばれる有名な神社が約20社。
上記約370社は懐が豊かな神社と言っていいでしょう。歴史も古く、観光地だったり知名度があったりする神社ばかりです。※神主の給料に反映されているかは知りません。
他にも儲かっている神社はあると思いますが、少なく見積もって95%以上の神社は収益が低いと私は見ています。
兼業する神主
例えば正月に100万円の収益があったとしても、その他の月に1件5,000円のご祈祷が月20件しかなければどうでしょう?1年間の収益は300万円にも届きません。
また当然のように収益が全部使えるわけではありません。神社の老朽化や災害時に備え修繕費等の積立もやっておく必要があります。そんな実情があるため、兼業している神主は多いです。
・普段は学校で教師や郵便局の職員をしている。
・稲作や畑で野菜を作って農協に卸している。
参拝客が多い神社と比べて人がほとんど訪れない神社は、お宮の収益だけではとても食っていけないのです。
最近は副業が話題に上がりますが、神主も副収入を得ることに注力し始めるかもしれませんね。
神社の収入について
神社に入ってくる収益を3つの要素に分解すると、
・参拝客の数
・ご祈祷の件数
・奉納金の多さ
となります。順番に見ていきましょう。
参拝客がとにかく多い
関東でいうと原宿の『明治神宮』や鎌倉の『鶴岡八幡宮』といった大きい神社は言うまでもありませんね。
参拝客が多いということは、お賽銭やお守り、おみくじが出る可能性が大幅に上がります。他にも結婚式やご祈祷などの件数も増えるでしょう。
ご祈祷の件数が多い
厄払いやお宮参りといったご祈祷は1件約5,000円が相場です。数をこなせばそれだけ収益が上がります。
これは神社の特色、強みがあるご祈祷をしていると有利です。
例を挙げると東京の永福町に鎮座する『杉並大宮八幡宮』は安産祈願や初宮詣が有名。近隣に住む新婚さんは大抵ここにお参りに行きます。
奉納金が多い
地域住民の方や地元の企業などからの奉納金も、神社の大切な収益です。これが多いということは崇敬を集めている、愛されている神社だということになりますね。
御茶ノ水に鎮座する『神田明神』。仕事始めのご祈祷がTVで放映されているので知っている人も多いでしょう。
神田明神は氏子エリアが秋葉原・大手町・日本橋です。誰もが聞いたことのある上場企業や老舗企業も多く、中小企業も含めたくさんの崇敬を集めています。
宗教法人は税金かからないんでしょ?
確かに宗教法人は優遇されています。通常の企業は利益に関して税金が全てかかりますが、神社は非課税となるものも多い。
お守りの授与・ご祈祷 → 非課税
駐車場を月極で貸出し → 課税
この違いは何なのかというと、『信仰の対象となるか』ということです。
上記にあるお守りやご祈祷は信仰に関わるものだから非課税。対して駐車場の貸出しは信仰とは全く関係がないため課税対象となります。
ご祈祷を月に何百件も行う神社なら非課税となる恩恵は大きいでしょう。しかし弱小神社はそれほどうまくない。
宗教法人だ!税金優遇だ!とは言っても肝心の儲けが少なければ非課税のメリットはあまりないです。
雇われ神主には関係ない
これから神主を目指す人は、どこかの神社に奉職することになります。
その場合は給料をいただきますので、年金保険はもちろん所得税といった各種税金も引かれます。
一般企業と何も変わりません。
仮に将来婿入して神社を継ぐことになるなら、先代宮司や税理士さんから宗教法人税について聞くのが手っ取り早いです。
宗教法人税に関しては、神社を経営する立場になってはじめてメリットを感じられるのではと考えます。下っ端の神職は神様への奉仕に集中しましょう。
まとめ:神社のほとんどはお金に余裕がない
稼いでいる神社は全体から見ればごくわずか。大半の神社は神主さんが副業または兼業して、なんとかやっていっています。
見た目にはカッコよく見える神主さんも、裏では苦労しているかもしれません。
たまには地元の神社にお参りに行ってみてください。その際はお賽銭をよろしく! 笑
以上で終わります。
ありがとうございました!