神主の仕事

【神社の祭り】例大祭だけではない神社の祭事を元神主がまとめてみた

祭り

こんにちは。
ヴィンスです。

神社での楽しい思い出といえば『祭り』。友人たちと屋台を回ったり、同級生の着物姿にドキッとしたり、神輿を担いだりなどなど。

一般的なイメージで祭りと言えば、境内に屋台が出る例大祭ではないでしょうか?

この記事では例祭だけではない、1年間を通じて行われる神社の主な祭りについて紹介します。

ヴィンス
ヴィンス
よく知られているお祭りから、神社に詳しい人でないと聞いたこともないお祭りも紹介します!

 

1月~4月に行われるお祭り

世間では受験や転勤等の移動があったりと慌ただしい季節ですね。神主にとっても正月の初詣をはじめとして、特に1・2月は何かと忙しい時期です。神社によっては4月に春の例祭が行われるところもあります。

歳旦祭

新年祭や元旦祭など神社によって色々な呼び方があります。新しい年の始まりに、皇室・国民の繁栄と五穀豊穣、地域社会の平和を神様に願います。

1月1日の0時に始まり、歳旦祭が終わったあとに参拝客への新年祈願がスタート。正月三が日は休む暇もないほど神社は忙しくなります。

節分祭

『鬼はそと福はうち』でお馴染みの節分。節分とは季節を4つに区切った始まりの日(立春・立夏・立秋・立冬)の前日をさします。

季節の変わり目にはよくないもの(鬼)が出ると考えられており、鬼を払うために豆撒きをする行事です。

神社では※氏子さん達を中心に、袋に入った豆を撒きます。豆は拾って持ち帰ってOK。地域の方と触れ合える楽しいイベントです。現在は2月3日に行われます。

氏子(うじこ)とは、神社の周辺地域に住んでいる人々の総称。地元の神社の神様は『氏神(うじがみ)』といいます。

建国祭

現在でも祝日となっている2月11日の建国記念日に行われるお祭りが建国祭です。

日本国は建国した月日が明確にわからないため、日本神話を基に初代神武天皇が即位された日を建国と定めました。皇室・国の繁栄を祈るとともに建国を祝うお祭りです。

私のいた神社では盛大に祝うというよりはひっそりと行われていました。知らない人も多いのではと思います。

祈年祭(きねんさい)

今年1年の豊作をお祈りするお祭り。としごいのまつりとも呼ばれます。『とし』とは稲を含めた農作物、『こい』は願う、祈るといった意味です。

催行時期は神社によって異なりますが、田植えが始まる前の2月中に行われることが多いです。後述する11月の新嘗祭と合わせて、神社では大事なお祭り。

天長祭(てんちょうさい)

天皇陛下の誕生日(2月23日)に、長寿とご健康をお祈りするお祭り。

神道には伊勢神宮の祭神『天照大御神』や出雲大社の『大国主命』といった神様が多数いらっしゃいますが、日本神話によると神様の末裔が天皇家につながります。

なのでこの祭りのことを知った時は、なるほどなーと思いました。

ちなみに私が神社で働き始めるまで知らなかったお祭りでもあります。ひょっとしたら大学の講義で学んだかもしれませんが、全然覚えていなかったです…

 

5月~8月の祭事

この時期はどちらかというと落ち着いています。とはいえ祭りがないだけでご祈祷は普通にありますが。

7・8月に祭りを行う神社も多いです。有名なものだと京都三大祭の1つ、八坂神社の『祇園祭』など。

大祓式(おおはらえしき)

年に2回、6月30日と12月31日の大晦日に行われます。6月は『夏越の祓(なごしのはらえ)』と呼ばれています。

半年間で心身にたまった罪穢れを祓い落とし、清らかな状態にリセットしましょう!というお祭りです。一般の方も参加できます。

茅の輪潜り(ちのわくぐり)を行い、形代(かたしろ)に自らの罪穢れを写すという流れが多いです。

茅の輪くぐりとは茅(かや)で編んだ直径数メートルにもなる大きな輪っかをくぐり、穢れを落とすという神事。

形代とは自分の名前を書いた人型の紙に息を吹きかける、また調子の悪い部分を撫でて(肩こりがあるなら肩の部分)、自分の罪穢れを形代に写します。神社によっては形代を川や海に流して祓います。

 

9月~12月の祭

お祭りの他に七五三もあり、年末に向けてだんだん忙しくなってきます。正月の準備や巫女バイト採用などもあり、師走が忙しいのは会社も神社も一緒です 笑

例大祭

年に一度のビッグイベント。神社でお祭りといえばこの例大祭。これは各神社によって開催時期が異なり、行く予定があるなら事前に調べておいたほうがいいです。

屋台やお神輿が出るためとても賑やか。また地域住民(氏子)の方々の協力無くしてはできないお祭りです。

私のいた神社の話ですが、昔は9月15日の催行でした。現在は氏子さん達の都合を考慮し『9月4週の土日に催行』となっています。神輿を担ぐ人達はサラリーマンがほとんどですし、祭り囃子(まつりばやし)をやってもらうのは小・中学生。

地域の方々に平日の参加は難しいでしょう。
お祭りの日にちを守るという伝統も大事ですが、ある程度フレキシブルに対応していくのも今後の神社では必須だと思っています。

新嘗祭(にいなめさい)

神社でも特に重要なお祭り。春の祈年祭が五穀豊穣を祈る祭りなのに対し、新嘗祭は『その年の収穫を神様に感謝する』祭りです。

その年に収穫された初穂、新米を神様にお供えします。今年も無事に収穫できたことを神様に感謝し、お供えしたお米を皆で食べます。

お祭りとして現代まで伝えられていることから、稲作およびお米は日本人にとって非常に大事なものなのです。

11月23日、勤労感謝の日に新嘗祭は執り行われます。神社のお祭は祝日が多いですが、祭祀のある日が祝日になっていると言った方が正しいですね。

大祓式

6月の夏越の大祓に対し、こちらは『年越しの大祓』。祭事は6月と変わりません。

新たな年を迎えるにあたり、心身を穢れを祓い落とし清々しい気持ちで新年を迎えることができます。

 

毎日・毎月行われる祭り

たまに神社を訪れるくらいではまず知らないと思いますが、神社では毎日お祭りをしています。神主の間では清掃と並んで習慣化されています 笑

そんな神社の裏側的なお祭りをご紹介。

御日供祭(おにっくさい)

毎日朝と夕方に神様へ神饌(しんせん)という食事物をお供えし、地域の平和を祈ります。

お供えする内容は米・塩・酒・水の4種類は必須です。上の画像にある三方(さんぽう)という木の台に乗せて神前にお供えします。

例大祭などの大きなお祭りの際は野菜や果物、鯛といった縁起のよいものが追加されます。

月次祭(つきなみさい)

毎月1日の朝に行われるお祭りで、国の繁栄や地域社会の安寧を神様にお祈りします。

地域の氏子さんならどなたでも参加OK。神社によって異なりますが、私がいた神社では終わった後は神主による30分ほどの講話が行われました。日本神話の話など、下っぱ神主も勉強になります。

 

まとめ:祭りは色々行われています

神主にとって祭りとは例大祭だけではありません。あなたの知らないところで国家の繁栄や地域住民の平和を日々祈っています。

また節分や大祓式など一般の方でも気軽に参加できるお祭りがありますので、ぜひ参加してみてください!

お参りして清々しい気持ちになれますし、地域の方との触れ合いも楽しいですよ。

以上で終わります。
ありがとうございました!

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