神主の仕事

神主の仕事とは?神社の知られざる裏側を元神職が語ります!

神主の仕事

こんにちは。
ヴィンスです。

ここ10年ほどの間に「パワースポット」「スピリチュアル」といった言葉が定着し、神社やお寺が注目されるようになりました。

そして神社に興味を持ち、神主になりたい!という人も意外といるみたいです。

そこで神主って普段何をやっているの?これから神主を目指したい!という方に役立つ情報を、元神職が書いてみます。

これを読んで、よしやってやる!と思うもよし、思っていたのと違う…と感じるのも自由です。

ヴィンス
ヴィンス
勤続年数だったり神社の大小によって異なる部分もありますが、どこもやっていることはほぼ一緒です。

 

一般的に見られる神主の3つの仕事

まずは神社に行った時に神主と遭遇する場面について。
大抵はこのシーンしかみていないため、憧れだったり楽そうというイメージを持たれるかも。

しかし実態はこんなもんです。

例大祭

これは定番ですね。

お祭りに参加したことがあるなら終日。参加したことがない人でもお神輿の先導などで目にする機会があります。正月と同じくらい盛り上がる行事のため、神主としても気合が入るときです。

しかし拘束時間が長い…

私のいた神社だと朝の2時半に起床して3時半に出社。4時からお祭りの支度を始めて6時にお祭りを境内で行います。

8時から神輿行列が始まり、休憩と祭祀をはさみつつ約20km歩きます。16時頃に神社へ帰り、その後は片付け。

19時頃にようやく一段落、かと思いきや氏子さん達の※直会(なおらい)があり、お手伝いや片付けをして21時に自分たちの食事。その後は青年会の連中に捕まり24時まで飲み会…翌朝は普通に出社です。

直会(なおらい)とは大ざっぱにいうと祭り後の飲み会のこと。
神主を飲みに誘う場合、「直会行きましょう!」で通じます。

ご祈祷やお祓い

七五三や厄除け、地鎮祭、最近は神前式(神社で結婚式)も流行っているため見かけることも多い。

基本やることはどのお祓いでも一緒です。神主の資格を習得する時に基本的な作法は学びます。あくまで基本のため、神社によって独自の作法や順番があったりします。

※祝詞(のりと)も神主の手作りで、それぞれの神社で口上が異なります。もし観光などで神社へ行った際に聞く機会があれば、お祓いの作法と祝詞を地元の神社と比べてみるのも面白いです。

祝詞(のりと)とは神職が神様にお願いする際に唱える言葉。
かけまくもかしこき〇〇神社の大前に~で始まるのが多い。

 

ご祈祷
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社務所

お守りやおみくじ、御朱印の授与。祈祷の受付けなどがメイン。ここだけ見ていると「神主って楽そうだな」と思われる仕事でもあります。

他に急ぎの仕事がなく受付のみに専念できるなら、人が来ない時は楽です 笑

とはいえ人に見られる部分も多いため、必要以上にだらけていると後で氏子さんからお叱りが飛んでくることも。神社の評判を落とすことになりかねないため、人前に出る時は気をつけます。

また参拝客からの質問に答える等コミュニケーションを取るのも大事な仕事。対面のほか、電話やメールでも問い合わせが来るため常に勉強する姿勢は持ち続けないとダメです。

神社関連の歴史は広く深いため、参拝客の中には神主以上に詳しい知識をお持ちの方も少なくありません。勉強不足だとお叱りを受けることもしばしば。

逆に教わるくらいの謙虚さで対応しましょう。初対面だとツンケンしているけど、話してみると意外と良い人っていうパターンがほとんどです。

私は神社に詳しい参拝客とお話して、みかんや飴ちゃんをもらったこともあります 笑

 

意外と知られていない裏側の仕事内容

ここからは参拝客の目に触れない部分、裏側の仕事についてご紹介します。神社の規模が小さいほど仕事は多岐にわたります。

また新人ほど泥臭いとも取れる仕事を頑張らないといけないため、業務内容の違いはあれど考え方としては一般の中小企業と大差ありません。

清掃

「神主の主な仕事って何をやっているのですか?」と問われれば、

 

清掃です!

 

と迷わず答えます。年齢が上がっても職位が上がっても、これだけは変わらないんじゃないかと。

下っ端が境内を担当し、毎日キレイにしている時に先輩は本殿の中をキレイにする。というように掃除は神主生活と一心同体です。

掃き清める、という言葉があるように神社は清潔に保たれなければいけません。365日ホウキで境内を掃きます。雨の日は普段は注力して清掃できない社務所や本殿の中などを掃除します。

神社にお参りに行くとホッとする。これは境内を清潔に保っている神主達の影の努力による部分も大きいと私は考えます。見た目に美しい桜の花や紅葉シーズンは落ち葉がね…お察しください。

事務系の仕事

神社でも文書作成やHP更新、メール問い合わせ対応などでPCを使います。

他にも社報の作成であったりご祈祷後に渡す物品を袋にまとめたり、おみくじの発注といった作業を社務所の受付けと平行しつつ行っています。

これから神主を目指す人なら最低限のPCスキルとして、ワード・エクセル、メールは触っておいたほうがいいです。

またHPは自前で更新しているところも多いため、簡単なweb知識もあれば戦力になります。

神社業界はWeb関連に疎い人も多いため、面接でのアピールポイントに十分なりえますよ!

勉強

これは神社業界だけでなく、どこの会社に行っても変わりません。氏子さんや参拝客からの問い合わせ対応のため勉強は必須です。

勉強の内容も神道の歴史、神社の歴史、お祓いの作法、場合よってはPCの使い方や経理関係も必要になるでしょう。

書道も大事ですね。御朱印ブームもあり、字が上手な人はどこでも重宝されます。私は下手な部類だったため御朱印は書かせてもらえませんでした。

あとは※雅楽もいいですね。大きい神社だと必須なところも多いです。けど奉職してから練習でもいい気はします。

※雅楽は巫女舞いなどの時に流れる音楽で笙(しょう)、龍笛(りゅうてき)、篳篥(ひちりき)の三管が基本構成。
奏者の有名な人として東儀秀樹さんがいます。

宿直

私が神社を辞めた理由の一つです 笑
中、大規模の神社ならほぼやっていると思います。

神主はただでさえ休みが少ないのに、プラスで宿直は心が折れました…

以前お世話になった神社では、

・宿直は月5回ほど
・手当は一回1,000円
・夜21時と深夜2時に境内の見回り
・朝5時に起床して鍵開け
・7時に太鼓を叩く
・その後は定時まで仕事

というスケジュールでした。
特に深夜見回りがキツかったです。3時間後には起きないといけないし、酔っぱらいの吐瀉物を見つけた時は泣きそうになりながら掃除しました。

宿直は神社によって異なるため、あくまで個人の経験ということで。友人の務める神社は見回り1回、2名体制でやっています。

お祭り

神社は毎日お祭りをやっているって知ってましたか?

それが「御日供祭(おにっくさい)」。

このお祭りは神様にご飯をお供えする祭りです。朝と夕方の2回行います。お供えするものも神社によって多少異なりますが、米・塩・酒・水の四種類は必須です。氏子さんから奉納された果物とかを一緒にお供えすることもあります。

同僚たちの間では略して日供(にっく)って言ってました。

それと毎月やるお祭りとして月次祭(つきなみさい)。国家や氏子さんの安泰を祈るお祭りで月初めの1日に行います。私のいた神社は月に2回、15日もやっていました。

ほとんど平日の朝に行われるため、知らない人も多いのではないでしょうか。ちなみに地域の人であればどなたでも参加できます。気になる人は地元の神社に問い合わせてください。

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まとめ:神主の仕事は楽じゃないよ

神主の仕事内容についてまとめてみましたが、ちょっと幻滅した人もいらっしゃるかと思います。

しかしこれが現実です。

お祭りやお祓いなど一見優雅に見える神主の仕事も、あくまで一部分。見えないところで書道の勉強をしたり、境内の雑草を抜いたりしています。けっして楽な仕事ではないのです。

私は深く考えず神主になり、結果辞めました。しかし神主になったことに後悔は全くありません。
そのへんについても今後触れていきます。

以上で終わります。
ありがとうございました!

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