神主のなり方

神主になって良かった・辛かったことは?向き不向きも含めて説明します

神主になって良かったこと

こんにちは。
ヴィンスです。

私は以前神社で神主をしていましたが、わずか三ヶ月で辞めてしまいました。

 

神社内でいじめにあった…

 

というわけではなく、奉仕の時間(会社でいう勤務時間)に不満を持ったからです。

この記事ではこれから神主を目指す人や神職に興味がある人に向けて、神社で奉仕することのメリット・デメリットを含めて包み隠さず書いていきます。

また、それらを含めて向き不向きという視点で解説してみようと思います。

ヴィンス
ヴィンス
私はすぐ辞めてしまいましたが、神主になった事自体に後悔は全くありません。それだけは強調しておきます。

 

神主になって良かった3つのこと

正直色々ありますが、私が良かったと思う点を3つ挙げてみます。

参拝客から感謝される

一番は何と言っても参拝客の方から喜ばれることです。生後1ヶ月の赤ちゃんの健やかな成長を願う『お宮参り』は見ていてほっこりします。

また暗い顔をして『厄除け』に来た参拝客もご祈祷が終わったら、

「迷っていましたが来てよかったです」
「気分が爽やかになりました」

とおっしゃっていただけると、こちらも嬉しくなります。

地元の人とのコミュニケーション

日々の奉仕やお祭りなどを通じて地元の人とも仲良くなれます。

「〇〇神社の新人さん」と顔を覚えてもらい、町中で挨拶されたりします。おばあちゃんからミカンを一袋貰ったり、某ファーストフードチェーンの役員からハンバーガー無料券を頂いたこともありましたね。

ただ雑談している中でも神社に関する質問や、ご祈祷の相談などをしてくる場合も多いため油断はできません。

お祭りや初詣の裏方として奉仕

神社でも特に忙しい時期ですが、無事終えた時のやりきった感はハンパないです。

神輿の行列に加わると、大勢の人達の協力でお祭りが成り立っているんだと実感できますし、正月はバイトの巫女さんが来るため華やかになり、自然と気合が入ります 笑

肉体的にも精神的にも大変ですが、大勢の参拝客に来ていただき、それをさばいていく裏方のポジションも楽しかったですね。

 

神職のつらいところ

私が実際に思った神主の辛い部分も3つほど挙げてみます。

日々の奉仕活動

例大祭や正月といったビッグイベントを除くと、やることに変わりがありません。

境内の清掃、お祓い、手が空いたら事務系仕事や書道の勉強。

それほど暇なわけではありませんでしたが、私はウンザリしました。目新しい動きが全然ないためルーチンワークと化し、非常に退屈していましたね。

今思えば地元の人と協力して、神社主催でイベントをやるといった企画もできたかなーと思います。

しかしそのことに気づいたのは神社を辞め、一般企業で働き始めてからです。正直あのまま神社に奉仕し続けてこういう考えに至れたか?というと何とも言えませんね…

奉仕時間の長さ

朝8時から17時くらいが基本です。

ここだけ聞けば大したことないですが、神主は休みが少なく宿直があります。

休みが月4日しかないという神社も珍しくなく、宿直は夜中に境内の見回りや朝に門を開けるなどあまり休めません。

これは神社によって全然違うため一概に言えない部分でもありますが、週休二日制の神社はほとんどないです。実家が神社のところは休みなんてないようなものですし…

収入の低さ

休日が少ないことによる稼働時間の長さ、これを時給換算すると…ということです。

1ヶ月30日のうち祝日が1日あるとします。
私が奉仕していた神社は月6日休みだったので土日祝休みのサラリーマンと比べると、

サラリーマン:土日休み8日+祝日1日=9日間
神社:土日祝関係なく6日間

休憩1時間含め1日9時間稼働だとすると、毎月8時間×3日間の計24時間分は多く奉仕していることになり、年に換算すると288時間は稼働時間が多いです。

さらに残業代は全く付かないためこれが給料に反映されているかというと…大きい神社はともかく中小の神社は無いのではと思います。

 

神主は偉そうな人が多い?

「神社でお祓いをお願いしたら、そこの神主の態度がひどかった」

なんてこともあるようですが、それはごくわずかの神主…だと信じたいです。

しかし、実際私が神職をやっていた時に、優越感というか勘違いを起こしそうになったことが何度もありました。

神主は一般の人より偉そうになる環境に置かれている、というのが私の持論です。

神主は頭を下げられることが多い

私は一年間住み込みで神社に奉仕したことがあります。
当時は18歳かそこらの若輩者でしたが、

・自分よりはるかに年上の方から敬語を使われ、礼儀正しい態度で接してもらえる。

・お祓いをする時に「頭をお下げください」と言うと10人以上の方が一斉に頭を下げる。

神主であるというだけで、大学に入ったばかりの若造に地元の警察署の署長や会社の社長さん、上場企業で役員をされている方々などが敬意を持って接してくれるのです。

私は神社で奉仕し始めて早々に「神主ってすごいな」と感じたことをよく覚えています。

その人の気持ちの持ち次第ですが、ここで勘違いを起こしてしまう人が出てくる事も充分あり得ると思います。

 

神主に向いている人

向いているなと思える人の共通点は1つだけです。

仕事ではなく『奉仕』と割りきれる人

神主だって霞を食って生きているわけではありません。神社から給料を頂いて生活しています。

はっきり言って神社業界の待遇はよくありません(大きい神社、観光地の神社などは別)

一般企業に比べると嘘みたいに低い給料の神社は多いですし、休日も少なく宿直もあります。

生活の糧を得るための仕事、ではなく神様への『奉仕』と割り切れる人は向いているといえるでしょう。

 

神職に向いていない人

向いていない人も書いておきます。

神主は多少の体力と高卒程度の学力があれば、誰でもなれます。実際に奉仕する神社によって待遇や環境が違うため、嘘は言ってませんが参考程度に捉えてください。

信仰心が強すぎる人

意外と思われるかもしれませんが、神主さんって狂信的な人はとても少ないです。

「家族やプライベートを顧みず信仰にのめり込む」

本人はそれでもいいでしょう。しかし神社も『宗教法人』という組織です。また例大祭や正月の三が日など、地域住民との連携なくして神社は成立しません。

 

これは学生時代に聞いた話ですが、とある神社の実習先で神主さんから「境内の掃除を頼む」と言われた学生がいました。

しかし彼はこれを断りました。理由を聞くと、

「神様の近くにいたいから、本殿の近くで奉仕したいです!」

と言ったそうな。初めての実習先の神社で先輩神主に逆らってしまう。こんな頑固な人がいたら正直扱いに困ります。

清濁併せ呑むくらいの人の方がよほど向いています。

単調なことに耐えられない人

私はこれがしんどくなって辞めました。

ある程度奉仕に慣れてくると、清掃・ご祈祷・事務系の仕事などやっていることに違いはありません。つまり目新しいことがほとんどない…

一般企業のように案件ごとに異なる、部署異動がある、といったことも少ないです。

神社は例大祭などを除き、1年のほとんどは同じことの繰り返し。実際に奉仕しないとわからない部分ではありますが、ぜひ覚えておいてほしいです。

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休日はしっかり欲しい人

私はこれも我慢できませんでした 笑
週休2日もないし、2連休を取るのも気を使うし、1週間休むなんてほぼ不可能。

会社であれば有給を使うなりして調整できますが、神社の有給なんてほぼ無いものと考えてください。

もしこれから神主を目指すなら、海外旅行は今のうちに行っておいた方がいいですよ。

 

まとめ:神主は『仕事』なのか、『奉仕』なのか

神職の良いところと辛いところを中心に書いてみました。

神主を『仕事』と捉えるとブラックな業界です。私は日々の糧を得る『仕事』と考えていたため、さっさと辞めてしまいました。

よくよく思い出すと1年間住み込みで神主をさせていただいた時も、

・朝に社殿を開けてくれるのは住み込み先の神主さん
・朝食が午前8時に出るのでそれまでに起床する
・午後3時には業務を終えて大学に行く
・GWや夏休みもいただけた

とまあ、はっきり言ってお客さん扱いでしたので…
お祭りや正月などのキツさは理解しているつもりでしたが、卒業して実際に奉職してみるまで神社の厳しさが全然わかっていなかった点は反省しています。

というわけで、
神主を仕事ではなく『奉仕』と考えられるなら、地域住民からリスペクトをもって接してもらえたり、参拝客からの感謝の言葉をいただける職業です。

これから神主を目指す人の参考になれば幸いです。

以上で終わります。
ありがとうございました!

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